石田 衣良 集英社 2002/05

本日の読了。
池袋ウエストゲートパークの人です。そっちは未読ですが。

なんて言うの、なんて言うの!
「あぁ、幸せ」って思いました。
恋愛小説の短編集なのですが、一つ一つのお話が「幸せ」なのです。たとえそれが悲しいお別れであっても、確かにその人たちは幸せだったのだ、と思えるのです。

表題作「スローグッドバイ」が一番切ないけど、一番自然に笑顔がこぼれるカンジ。

女性に対する男性の認識とか理想って、こういう風なのかな? と少し考えました。

とてもストイックな女性ばかりが描かれていて、それは最近読む男性作家の作品にはよく出てくる感じで、世の中は今こういう女性が求められているのかしらと思っていました。
強くて、きれいで、賢くて、控えめなのに芯がしっかりしていて、でもどこか脆い。脆いのだけれど、葦のようにしなやか。

深く付き合わないうちなら、そういられるかも。

あ、「短編」ってそういうことなのかな。
多分、日常で付き合っていても、その人に対しての情報ってこういう「短編」で読み取れる程度のものだと思う。
深く付き合いたいって意思がなくて、ただ単に、同じ職場、とか「一緒過ごすと楽しい」友達とか、私の場合は劇団の人たちとか。

情報量的にはぴったりかも。
短編って、そういうことなんだー。

「大人の恋愛の日常を、甘く切り取れたらいい」とあとがきにありました。うん、確かに甘くて、素敵だった。
あぁ、幸せ。
こんな気分がずっと続けばいいと、今は思っています。


あと、この人がデビュー当時から少しずつ書いたものをまとめてあるようですが、作家としての確かな成長を感じさせます。
何様だ、とかどこが、とかは言わないでおいてください。
フィーリングだもの。
ただ、最近のものになればなるほど、ぐっと伝わってくるものが増えるというか。なんというか。
後に残る印象も、ぐっと強くなります。

すごい真面目に読書レビューしちゃった…珍しい。
恋をしている人にもしていない人にも、飽きた人にもオススメです。

昨日の日記がちょっとアレだったので、今日は明るく。

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